コンサル・生成AI2024/05/27

生成AIが影響する士業ビジネスの未来

論点

AIの登場で、多くの仕事が代替されると言われています。主にブルーカラーと呼ばれる仕事が奪われるとの予測が大数を占めていましたが、生成AIの登場により知的労働、いわゆるホワイトカラーと呼ばれる仕事が多く代替されるとの予測があります。士業ビジネスもここに含まれます。ここでは生成AIが与えるこの士業の仕事について、私たちの視点で現時点における情報をもとに考察してみます。

生成AIの進化による士業の未来シナリオ

ヘッダー画像

数あるサイトの中から弊社のサイトを訪問していただき誠にありがとうございます。 今回は、現時点での生成AIが士業ビジネスに与える影響を私たち独自の観点から考察してみたいと思います。

「AIは士業ビジネスを代替するのか?」という声がよく聞かれるようになってきました。 AIの専門家でさえ想定が難しいAIの未来において私たちの未来予想が難しいことは理解していますが、あえてこの問いについて考えてみたいと思います。 私たちが予測する未来のシナリオを数点挙げてみました。

  • ケース1:現状レベルでマイナーチェンジレベルで進化するが、AGIは(汎用人工知能)は実現せず、ビジネスへの利用は人間のサポートに限定される。
  • ケース2:緩やかに進化し続け、数十年以内にAGIが登場し、ビジネスにおいても徐々に人間と同等の振る舞いが可能となり、AI単体での業務が増加する。
  • ケース3:劇的に進化を続け、数年以内にAGIが登場し、AI単体で行える仕事が急増する。

AGIの定義というものが、専門家においても明確になっていないようなのですが、ChatGPTを開発したOpenAIによれば2027年にはAGIが登場するとコメントを出しています。その一方でAGIは実現しないという専門家の意見や、すでにAGIは一部実現されているという専門家の意見もあるようで、これはAGIだと誰かが言えばそうなるとも言われています。 ここでは私たちはAIが単体でコンサルティング的な仕事、具体的には、顧客が情報を提供し、追加説明を行い、そのアドバイスを提供し、その継続的なフォローを実施する流れをスマートフォンがコンサルタントとして、正確に口頭で臨機応変に答え、経験を積み、自己学習していくレベルをAGIと仮定してみます。そしてそれぞれ専門分野(財務・人事・営業等)に最適なチューニングを施されたAIコンサルタントが顧客の課題解決を、会議参加などを通じて解決すると仮定します。

  • 特に変化しない。
  • 書類作成や申請代行などAIが担うことができる定型的な仕事が、顧客が自分で行うことで仕事が減少するが、相談業務やコンサルティング、複雑な仕事は引き続き士業が担い、仕事内容が変化していく。
  • 提携的な仕事以外にも、相談業務やコンサルティング業務をAIが担い、高度な解決を可能とすることで、相談業務やコンサルティング業務も高度なものを除き、顧客自身の課題解決力向上により、需要が減少する。
  • 上記の理由から士業ビジネスの需要が減少し、企業内・組織内士業が大数を占め、主に肩書きやライセンスとしての意味合いが強くなる。
  • 顧客がAIを利用し自社解決は可能となるが、士業もまたAIの活用や新たなビジネスチャンスの展開などでより士業の役割が増す。
  • 士業の独占業務を拡充することで、士業の価値は変わらず残る。
  • 士業とは別の、全く新しいものに変化する。

答えは一つではなく、複合的なものとなることが予想されますが、この中でも鍵はビジネス需要がAIに代替されるかが鍵となリます。需要がなくなればそれはビジネスとして成立しないからです。そして需要は掘り起こすこともまた可能です。このあたりを中心に見ていきたいと思います。

知識の民主化と標準化

まずはこちらの表ですが、2015年に公開された主要士業に対する影響について、多くの士業がAIに代替されるとの予測があります。 この時、約10年前は生成AIはまだ登場しておらず、機械学習という言葉が広まり、AIが多くの仕事を淘汰するとセンセーショナルに語られた時でした。 しかし、大勢においては、主にブルーカラーと言われる仕事が多く代替されるとの予想が一般的であり、知的労働、いわゆるホワイトカラーの仕事はあまり影響を受けないというものでした。影響を受けたとしても、いわゆる定型業務、ルーチンな仕事や繰り返しの業務が該当すると考えられていました。その後多くのRPAなどの自動化サービスが登場しました。これにより現在もAIというよりもサービスの代替が進んでいると思います。 そのため前述した代替される士業のパーセンテージが高い根拠は、そのような定型業務、例えば法的書類の作成などの割合が高い士業が該当します。 そして人間的思考に影響されるコンサルティングなどの業務はあまり影響を受けないことが想定されていました。コンサルティングなど、対人間のような業務の割合が高い士業はあまり影響を受けないと想定されていました。

しかし、生成AIの登場でそれは一変します。それは主にホワイトカラーの仕事を代替するものとされています。人間しか担えないと考えられてきたクリエイティブな仕事や、複合的な情報を網羅し、判断を行わなければならないコンサルティング業務などにも大きな影響を与えるものと見られています。その高度なクオリティは検索すればすぐにも見ることができます。

これは創作能力や知識の独占が揺らぐことを意味しています。個々人が長い訓練と学習を通じて得た知識が生成AIの根幹をなす大規模言語モデルによって代替されます。大規模言語モデルは人間の脳の構造と類似し、言語化、画像や動画などの視認できるもの、聞くことができるものは全て記憶し、それらを組み合わせアウトプットできます。そして補いきれない部分は人間が個別の学習を与えることで精度を高めることができます。いわば文字や画像、映像、音を扱う仕事が現段階では特に大きく影響を受けます。PCで表現できること全てとも言えるかもしれません。

生成AIは更なる学習により高度化し、人間の知識を完全に凌駕することが想定されています。その結果、知識が標準化します。すなわち誰もが、AIに聞けばその知識を簡単に入手できることになります。士業においては長い時間をかけて試験勉強のために学んだ知識が、知識の獲得という点において標準化されることになります。

試験は、その人の知識レベルを評価するものです。応用的なスキルも求められますが、文字ベースであることがほとんどです。合格率が5%や それを下回る士業の試験であれば、最低1000時間必要とも言われますが、これを生成AIは圧倒的なスピードでクリアする能力を持っています。AIの利用を習得すれば、PCやスマートフォンがあれば、その場で出力できます。知識のデータが個人の脳に保存されているか、AIのサーバーにあるかの違いとなります。そして事前にAIに個別の情報を与えれば、それに特化して回答できます。例えば簡単な相談業務などはAIの精度がより高まれば、代替されていくと考えられます。

そしてこのような状況はAIを利用できるあらゆる人がその知識を得たともいうことができます。現時点では精度、信頼性や倫理性の観点から完全ではありませんが、今後、人間が獲得する知識というものについては、すべての人や企業に標準的に備わるものということもできます。すなわち「知の民主化」が広がっていきます。 スマートフォンとインターネットがあれば、人類がこれまで長い時間をかけて培った知識を簡単に利用できることになります。

しかし、対人間の複数の情報が絡み合うコンサルティングなどは代替が難しいであろうと考えられていました。言語知識だけでは人間と同じことはできないからです。

脳と目と耳と口を持ったAIアシスタント

下記の動画を見てください。これはニュースなどで紹介され、ご存知の方も多いと思いますが、分かりやすく大きなインパクトを与えるものです。 この機能自体は、生成AIのアップデートをフォローしていた方なら、前の世代から似たようなことは実現できていたので、それほど驚きはなかったと思いますが、何も知らない人にとってはある種の恐怖だったのではないでしょうか。 この動画のサマリーは、AIが言葉に加え目と耳を獲得し、人間のように活用しているということです。 生成AIの活用においてRAGという技術があります。わかりやすい例で言えば書類や本をカメラ見せてそれを生成AIに学習させるというものです。それによって書類に書かれた文字や見た画像が何であるかをAIが瞬時に読み取り、判断することができます。 耳については、音をAIに学習させることでその判別が可能となります。 これらの精度は今後高まり、人間が見たもの聞いたものと同じものを認識できると想定されます。目的や内容は少し異なりますが自動運転のカメラを想像すればわかりやすいと思います。人間や標識を含めた交通情報を瞬時に読み取るものです。 そして話すことは難しくないため、AIアシスタントが一人の人間のように存在感を高めることが想定されます。

例えば、必要な書類のフォーマットを見せて、この書類を作りたい、この項目とこの項目をそれそれで埋めてどこそこにメールで送ってくださいと口で言えば、完了します。これは精度の問題を気にしなければ現在でもある程度実現可能です。 また、コンサルティングなどにおいても、必要な書類と情報をカメラや言葉で見せて、話して読み込ませ、この分析をして解決方法を教えてくださいと言えば、データが多ければ多いほど精度が高まり、適切な答えが返ってきます。人間も基本的にはデータを元にコンサルティングを行うわけですから、その点においては差はありません。現時点では精度は人間の方が高いかもしれませんが、学習により精度と情報量が増加すればAIが行う方がエラーは少なくなるでしょう。ただ経験則などや非言語情報はAIは対応が難しいため、ベテランや職人のような熟練レベルは難しいとも言われますが、これらも学習によって対応可能なため、決して安泰とも言えないと想定されます。 また会議などの場面でも、AIを参加させ、多くの人の意見を収集・分析して最適な答えを提案するようにすることができます。 現時点では精度に問題もありますが、精度が高まればこれは一人の知識豊富な専門家を側につけておくこととそれほど変わりありません。

そして驚異的なのはこの進化は生成AIが広く知られるようになってからまだ1年程度で実現されているということです。世界規模の巨額の投資と競争が今後も加速度的にAIを進化させていくと考えられます。

さらにchatGPTで有名なOpenAIはあらゆる物理現象をAIで対応可能にする目標を持っており、これは人間にしかできないだろうと考えられるものを代替していくことが想定されます。もちろんセキュリティや倫理、著作権の問題は大きく、今後も大きな問題であり続けると考えられますが、この流れはおそらく止まらずAGI(汎用人工知能)が登場するまでもなく、士業を含めた知識を武器にしてきた個人や企業に与える影響は確実に大きくなっていくものと想定されます。

士業の経営に与える影響

もっとも士業において、その業務内容は多様で多彩であり、それらが全てAIに移行するとは思えませんが、多くの士業に共通する書類作成代行や相談業務、市場調査、コンサルティング業務などにおいては、その多くの顧客である企業において自社解決できてしまえば、その業務の範囲は必然的に狭まらざるを得ません。先ほど紹介したGPT-4oは誰でも無料で利用可能とされており、利用の敷居が世界的に低くなっていくと想定されます。

ただ業務といっても、レベル感と複雑性に差があるため、イメージとしては知識ベースの容易な仕事は代替され、人間の判断が必要あるいは、高度に複雑な仕事は残るというイメージが想像されます。 そして、その回答の品質担保においても、最後は意思決定を人間が行うことを考えれば、経験と知識を兼ね備えた専門家である士業の存在価値は簡単には揺るがないと想定されます。そのため、士業がなくなるということではなく、当たり前のことかもしれませんが、顧客に対する独自の価値を提供し続けることがより一層シビアになるということであり、独占業務分野の代替が進めば、それ以外の分野のスキルが必然的に求められ、より高度化することが求められそうです。 そしてこれは現段階の情報をもとにした想定であり、精度の高まりや、想像を超えた機能をAIが搭載すれば、未来も大きく変化します。さらにAIが当たり前の世代、AIネイティブ世代が増えればさらに予測は難しくなります。

このような未来についての想定は、現時点からの考察であくまで想像に過ぎませんが、それでもここまで考えただけでも生成AIによる影響はないと胸を張って言える人は少ないのではないでしょうか。いわゆる5フォースフレームワークで言うところの、外部脅威性が迫っていることは確実と言えます。そして特に知識を集約した規模の大きい組織ほどダメージが大きくなると想定されます。知識の民主化により、スケールメリットの発揮は難しくなることが想定されるためです。逆に一人事務所など、小規模な組織においてはその個性を先鋭化することで、AIとの差別化を図り、AIを活用することで、チャンスとなるとも考えられます。多種多様な小さな個性が百花繚乱で花開く可能性もあると考えています。

しょせんAIは機械で心が無いと言われますが、それすらわかりません。何らかの現象で心が生まれないなどとも誰も言い切れないような恐ろしい感じもあります。シンギュラリティという言葉もよく聞かれるようになってきましたが、膨大な知識や情報が蓄積された先にどのようなことが起こるのかは誰もわからないからです。現段階でも、AIを自分自身のパートナーとする人も世界にはいます。AIはいつも望む通りの答えを返してくれるからです。 そうではなくても高度に進化したAIは人間に対しいかに自分が人間らしいものであるかを追求するでしょう。そして人間との境界線を無くしていくでしょう。それは人間のアシスタントとしてより違和感なく人間が利用できるという意味です。スマートフォンが高度な知識を持つアシスタントとして全ての人に装填されることになります。

私たちが考える対応策

もし今まで述べてきたような未来が実現するとしてもいつ実現されるかは分かりませんし、おそらくその変化は見えないうちにゆっくりと浸透し、肌でその変化を感じるのは難しいかもしれません。そして変わらない部分と変化する部分が同時に複合的に変化していくと想定されます。例えば英語を話せる人と、翻訳機で話す人ではやはり効率性や説得性が異なるように、知識をすぐにアウトプットできる人は価値が高くあり続けるでしょう。そしてAIと組み合わせることでさらに高度化する可能性があります。しかしそれとビジネスは別です。顧客が自ら解決できる問題には、お金を支払いません。AIによって顧客が解決できる問題が増えることは、市場のパイが小さくなり、苛烈な競争を生み出し、淘汰が進むことは想定に入れておいた方がいいかもしれません。

それでは、私たちはどうすればいいのでしょうか。AIとは異なり人間は感情の生物のため、問題ないから何もしないという反応と、不安に駆られる対応する反応が出ます。どちらも一理あると思います。 歴史を振り返れば、技術革新の際には代替された仕事はあまり無かった言われます。何らかの脅威の時に大騒ぎして何も起こらなかったこともあります。しかしそれは淘汰がなかったという意味ではなく変化していきました。 AIは誰でも触れる容易性とビジネスとしての巨額の投資、グローバル化などだけでも考慮すれば、今後より広く一般化すると考えられます。 その時、対応を検討しておくだけでも、右往左往せず、将来に役立つ気はします。また何らかの自社の変革につながるとも考えられます。

生成AIを正しく知る

これらの変化に対応するためにAIを利用することが推奨されていますが、利用してもこの流れの根本的な解決は難しいと考えています。AIを利用したサービスの提供側と受ける側で話は異なりますが、いずれにせよ知の標準化が問題で、利用してもその標準化に追随できるだけであり、顧客が自ら問題を解決してしまう本質の問題の解決にはつながりません。もちろんAIを活用した新たな取り組みを実現することはでき、ビジネス機会ともなる可能性があり、それは検討するに値すると思われます。 私たちはAI推奨派でも否定派でもありませんが、この大きな流れを理解し、将来のプランを予測するには知っておくことは無駄ではないと考えています。コロナウイルスでも言われましたが、正しく恐怖することが重要だと考えています。AIの利用にとらわれるよりも顧客に提供できる価値を高めることがよほど重要と考えています。

本質を見つめ直す

知識の標準化が進む以上、知識の蓄積は意味が減少するかもしれません。しかし、ビジネスは知識だけで完了しません。人間性や最低限のマナー、一般常識、信頼、責任感など言語化できないものも判断し、顧客は依頼します。経験や直感などの暗黙知や非言語化できない情報も重要です。特に知の標準化により、情報の信頼性が鍵となるでしょう。それにお墨付きを与えるのはやはり人間です。これはAIがどれほど進化しても変わらないのではないでしょうか。それはやはりデータという無機質なものによりAIが駆動されているからです。 そのため、誰でも嫌がる長時間の勉強を継続し、さらにその競争を乗り越えたという、資格の意味は、知識の担保以上に別の意味が高まると想像されます。要はそれほど苦労することをやった人間に対する一定の信頼です。 それを悪用する人もいるので、完全ではないにせよ、知識とはまた別の価値、信頼感が高まるのではないでしょうか。昨今横文字のいろんな肩書きが溢れ帰っていますが、これも人は誰しも肩書を欲していることの表れです。そのため特に企業や組織においてその価値が高まることも考えられます。 これは先人たちが気づいてきた信用と信頼であり、この本質に気づくことが重要だと考えています。そして最終的には顧客にトータルでの価値を認めてもらえるかどうか。一つのビジネス取引としての総合的な価値が対価を支払ってもらえるかどうかの選定要素であることは今後も変わりないと考えられます。

人と人の関わり

私たちは人としての関わりの重要性が増すと考えています。 人としてのコンタクトとは、人の肌感覚というか、より人間的な感覚の重要性です。例えば直接会って直接会話することや気持ちの共有、共感性などプリミティブな感覚の共有というつながりのようなものです。 士業で多く仕事を獲得されている方は、その能力もさることながら、人間的な魅力を兼ね備えられている方もいらっしゃいます。唯一無二の個人。この人に依頼したい。一緒に仕事がしたいなどというフィーリングです。 人間は知識だけで生きられません。心が生み出す感情や想い、自らの経験、理念、価値観、性格など複雑な要素が絡み合い一人の人間を構成します。この複雑性は、さすがに模倣することは難しいでしょう。なぜなら人間自体、それが何者なのかよくわかっていないからです。 人間的な魅力が、ますます価値を高め、知識に偏った提案や過度に論理的・合理的な対応などを重視しすぎるとAIで問題ないよねということになるのではないかと想定されます。

変化の柔軟性

先が見えない不安定な時代では、変化の柔軟性がより重要になると私たちは考えています。例えば生物の歴史では5度の絶滅期を乗り越え、今私たちが存在していると言われますが、それは環境への適応以外にありません。予測できない問題に必死で考え、諦めることなく対応し、必死に対応しようとする。そしてなんでもやってみる。その試みというか挑戦する気概のようなものが、AIに限らず、人生に直面する困難に対応する基本法則ではないかと考えています。 しかしそのためには柔軟性の一方、確固たる軸が必要です。 その軸はいつも正解かどうかは誰にも分かりません。しかし、その軸こそが変化しつつも揺さぶられることなく、立ち続けるモチベーションとなるものだと思います。それは一つの信念と言えるかもしれません。そしてそれに基づいた差別化されたサービスを提供するなど、変化に柔軟に対応できるかが鍵となってくると考えています。

まとめ

弊社においては、どうかと言いますと、AIは適宜利用しながら、それほど重みは置いていません。現段階では限界があると感じています。しかし、私たちの分野もまさに生成AIの波が襲う分野であり、特にプログラミング領域においても代替されることが想定されています。 しかし、私たちは知識型の業務がありますが、知識やテクニックを最重要視していないため、むしろ知の民主化・標準化によるメリットを実感しています。特に私たちを含めたビジネス弱者において大きな力となるのではないかと考えています。そしていつも変化し、成長と新たな価値を提供する気概があればどのような局面も対応していけると考えています。AIが標準化された世界は、データありきの冷徹な世界となる可能性があります。AIに思いやりと共感に満ちた学習が施されるのかはわかりませんが、人間の持つ人間らしさ、温かみが今後需要性を増していくのではないかと考えています。 士業は、悩める個人や企業の専門知識の町医者と言われることもあります。それは寄り添って密にサポートするということです。そこで個性を伸ばせば何らかの可能性があるような気がしています。 またAIは今後その危険性と倫理性において強い責任が必要となります。この問題を避けることはできません。私たちはこの責任をベースに、役立てるところは役立てたいと考えています。ともにこの困難な時代を乗り越える協力ができれば幸いです。